Izumo ancient history studies group
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- 2024年 出雲古代史研究会大会 篠崎報告
【会場+オンライン】山陰は、考古学調査により古代山陰道などの発見が相次ぎ、最も交通研究が熱い地域です。そこで出雲古代史研究会は、2021年に「山陰をめぐる古代交通の展開」をひらきました。この時は陸上交通がメインです。今年の大会は、水上交通をメインにした、「古代出雲と日本海交通」とし、4つの報告をそろえました。 最後の報告は、篠崎敦史(新潟大学)の「10~12世紀の東アジアと日本海を行き交う人びと」です。皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。 古代出雲と日本海交通 10~12世紀の東アジアと日本海を行き交う人びと 篠崎 敦史 (新潟大学) 10~12世紀の日本海海域交流は、渤海の滅亡などもあり、非常に低調な時期であるととらえられてきた。そのようななかも、東アジアの人びとは日本海にあらわれている。特に11世紀中葉からは「唐人」が頻繁にその姿をみせるようになる。彼らはなぜ日本海にあらわれ、そして史料から姿を消すのか。本報告ではこのような視点から、東アジア広域のなかで、日本海交流とその意義について明らかにしていく。 → 2024年大会のご案内ページ → 参加申込みフォーム[2024/8/15 木] 《参 考》 篠崎敦史 『 平安時代の日本外交と東アジア 』 吉川弘文館 、2023年、税込み11000円 [お詫び]篠崎さんに誤ったご尊名をのせてしまいました。謹んでお詫びを申し上げるとともに訂正いたします。
- 2024年 出雲古代史研究会大会 中野報告
【会場+オンライン】山陰は、考古学調査により古代山陰道などの発見が相次ぎ、最も交通研究が熱い地域です。そこで出雲古代史研究会は、2021年に「山陰をめぐる古代交通の展開」をひらきました。この時は陸上交通がメインです。今年の大会は、水上交通をメインにした、「古代出雲と日本海交通」とし、4つの報告をそろえました。 3本めの報告は、中野高行さん(大東文化大学非常勤講師)の「古代出雲と〈交通〉-筑紫・吉備・大和および日本海西部海域沿岸諸国との経済的・政治的・文化的交流-」です。 古代出雲と日本海交通 古代出雲と〈交通〉 筑紫・吉備・大和および日本海西部海域沿岸諸国との経済的・政治的・文化的交流 中野 高行(大東文化大学非常勤講師) 「経済的・政治的・文化的な交流としての広義の交通概念」を〈交通〉と表記し、石母田正と妹尾達彦氏の所説を整理して紹介する。 高句麗・渤海- 敦賀-出雲-新羅・加耶が囲む日本海西部海域の重要性を指摘する。 出雲-筑前-吉備の三角形を加味して、〈交差点〉としての出雲の特徴を明確にする中で、「幸魂・奇魂」の意義について考える。 → 2024年大会のご案内ページ → 参加申込みフォーム[2024/8/15 木] →次回更新2024年8月3日(土)予定 《参 考》 中野高行『 古代日本の国家形成と東部ユーラシア〈交通〉 』 八木書店 、2023年、本体9000円 八木書店コラム2023年12月25日 〈交通〉から日本の古代国家形成を考える 【自著解説】中野高行『古代日本の国家形成と東部ユーラシア〈交通〉』
- 2024年 出雲古代史研究会大会 久保田報告
【会場+オンライン】山陰は、考古学調査により古代山陰道などの発見が相次ぎ、最も交通研究が熱い地域です。そこで出雲古代史研究会は、2021年に「山陰をめぐる古代交通の展開」をひらきました。この時は陸上交通がメインです。今年の大会は、水上交通をメインにした、「古代出雲と日本海交通」とし、4つの報告をそろえました。 2本めの報告として、久保田一郎(古代出雲歴史博物館)の「古代隠岐研究からみた古代出雲」をご紹介いたします。 古代出雲と日本海交通 古代隠岐研究からみた古代出雲 久保田 一郎(古代出雲歴史博物館) 古代隠岐には、本州側の広範囲な地域から搬入された考古資料が残る。また、都城出土の荷札木簡から古代の地名、人名が知られる。これらの豊富な情報から、隠岐と、本州諸地域との交通の諸相、その中で出雲の占める位置を考察する。 → 2024年大会のご案内ページ → 参加申込みフォーム[2024/8/15 木] →次回更新2024年7月27日(土)予定
- 2024年 出雲古代史研究会大会 榊原報告
【会場+オンライン】山陰は、考古学調査により古代山陰道などの発見が相次ぎ、最も交通研究が熱い地域です。そこで出雲古代史研究会は、2021年に「山陰をめぐる古代交通の展開」をひらきました。この時は陸上交通がメインです。今年の大会は、水上交通をメインにした、「古代出雲と日本海交通」とし、4つの報告をそろえました。 はじめの報告は、榊原博英(島根県古代文化センター)の「島根における古代~中世前期の搬入土器と貿易陶磁」をご紹介いたします。 古代出雲と日本海交通 島根における古代~中世前期の搬入土器と貿易陶磁 榊原 博英(島根県古代文化センター) 奈良・平安時代の島根(出雲・隠岐・石見)の出土遺物について、国内からの搬入土器(奈良三彩・緑釉陶器など)、貿易陶磁(越州窯系青磁、白磁、青磁など)を中心に様相を整理する。大きく西の博多経由、九州方面からの遺物、東の畿内方面からの流通がうかがえ、特に西の石見は隣接する防長国由来の遺物が多い。 → 2024年大会のご案内ページ → 参加申込みフォーム[2024/8/15 木] →次回更新2024年7月20日(土)予定
- 2024年 出雲古代史研究会大会 趣旨
【会場+オンライン】2024年出雲古代史研究会大会は、8月24日(土)にひらくことになりました。今年のテーマは、「古代出雲と日本海交通」です。 趣 旨 2024年の大河ドラマ「光る君へ」に、宋人が越前国(福井県)に来朝したように、当時は日本海交通が活発でした。そのなかに出雲をはじめとする山陰地方も含まれます。 また、平安時代の古代出雲の研究はまだ多くありません。 そこで今年の大会は、平安時代を中心に、古墳時代から中世前期を見通して日本海交通が出雲・石見・隠岐の地域社会にどのような影響を与えたのか、その意義について検討します。 → 2024年大会のご案内ページ
- 伊勢と出雲
委員 橋本 剛 皆さんこんにちは。会員の橋本剛と申します。 この3月に、私も参加した論文集『伊勢と出雲』( #島根県古代文化センター 編、 #ハーベスト出版、2024年)が刊行されました。今回はこの論文集について簡単にご紹介します。 本論文集のもとになったのは、古代文化センターにおけるテーマ研究「出雲と伊勢」でした。テーマ研究は3年間という期限を区切り、外部の研究者なども加わって行う共同研究です。本研究は2020年(令和2年)~2022年(令和4年)まで行いましたが、客員研究員として主に伊勢側の方々をお招きしました。 さて、伊勢と出雲は、それぞれ伊勢神宮と出雲大社という著名な神社が存在する地域です。そうしたこともあって、国家形成期における両地域の重要性がしばしば強調され、また「伊勢と出雲」という形で並び称されることも少なくなかったと思います。本研究は、それぞれの地域の様相を分析しつつ、両地域が果たした役割やその関係性を明らかにすることを目標として設定しました。「伊勢」と「出雲」を併せて取り上げることで、これまで見えてこなかった両地域の特徴を析出できるのではないか、と考えたためです。 コロナ禍も重なり思うように研究会が実施できない時期もありましたが、3年間の共同研究をなんとかやり遂げ、その集大成として刊行されたのが本論文集というわけです。 本書の目次は以下の通りです。 【目次】 吉松 大志「神郡研究の現状と課題」 穂積 裕昌「志摩の海産物貢納と王権・伊勢神宮―神宮を支えた志摩の位相―」 久保田一郎「出雲、隠岐の海産物貢納に関連する問題」 平石 充「熊野大社・杵築大社の奉斎体制」 塩川 哲朗「伊勢と出雲の祭祀構造」 榎村 寛之「記紀における出雲と伊勢の神話的、歴史的位相について」 橋本 剛「平安初期の出雲と神社行政」 濱田 恒志「出雲の仏像・神像をめぐる「地域性」の問題 -「神話の国」の古代彫像をどう考えるか-」 田村 亨「鎌倉前中期の造営遷宮と幕府-杵築大社を中心に-」 藤森 馨「伊勢神宮と出雲大社の遷宮」 岡 宏三「杵築六ヶ村・宮内村の屋敷地の景観と荒神祭について -十七世紀前後を中心に-」 松尾 充晶「近世御師の活動からみた伊勢と出雲」 品川 知彦「伊勢と出雲-浦田長民の宗教思想を中心に-」 一見して明らかなように、扱う時代や資料も異なるバラエティーに富んだ論文が揃っています。それぞれが、「伊勢と出雲」という重厚なテーマに果敢に挑み、生み出された研究成果といえるでしょう。 研究当初に設定した目論見が成功しているかどうか、その評価は読者の皆様に委ねるしかありません。本論集を1つのキッカケにして、両地域の研究がより一層盛んになればと願っております。 島根県古代文化センター 編 『 論集 伊勢と出雲 』 ハーベスト出版 、2024年3月、本体2000円
- 日本史研究会 大会共同報告準備会2024-07
#日本史研究会 ( #京都 )は、日本最大手の学会の一つです。このたび、次のとおり大会共同報告準備会をひらくことになりました。感染予防をとったうえでご参加くださいませ。 → 日本史研究会について → 会誌『日本史研究』 日本史研究会 古代史部会 第2回 大会共同研究報告準備会 日 時:2024年7月8日(月)18:30~21:00 会 場:①機関紙会館2F(京都市上京区新町通丸太町上ル春帯町) ②オンラインZoom 参 加: 事前申込み [7/7 日 正午まで] 報 告:三野 拓也 「仮)奈良時代の労働力編成-造石山寺所を中心に-」
- 日本海文化と四隅突出墳を考えるフォーラム2024
今年の2024年は、 北陸で初めて四隅突出墳である杉谷四号墳が調査されてから50年めにあたります。これをうけて 森浩一先生に学ぶ会と富山文化研究会は、 次のとおりフォーラムをひらくことになりました。ご多用の折かと存じますが、なにとぞご参加くださいませ。 日本海文化と四隅突出墳を考えるフォーラム 海を越えての交流 -杉谷四号墳の調査から半世紀を経て- 日 時:2024年9月22日(日)10:15~16:00 会 場:富山県民会館304号(富山県富山市新総曲輪4-18) → 交通アクセスのページ 参 加:無料/事前申込み不要/定員150名 当日予定 第Ⅰ部 森浩一先生に学ぶ 南部さおり(元朝日町まいぶんKAN学芸員) 「朝日町での森浩一先生」 藤田富士夫(元富山市埋蔵文化財センター所長) 「森浩一先生による日本海文化シンポジウムとその構想」 麻柄 一志(魚津市教育委員会 文化財保存・市史編纂専門員) 「遺跡の発掘と保存 」 小嶋 芳孝( 金沢学院大学名誉教授/金沢大学古代文明・文化資源学研究所客員教授 ) 「寺家遺跡の古代学」 特別講演 小泉 武夫(東京農業大学名誉教授) 「発酵学-森浩一先生との思い出-」 第Ⅱ部 四隅突出墳の研究の現状と課題 紙上参加 坂本 豊治(出雲弥生の森博物館学芸係長) 「山陰地域の四隅突出墓の調査と研究」 泉田 侑希(富山市郷土博物館学芸員) 「四隅突出型墳丘墓の調査事例報告-富山県を中心に-」 髙橋 浩二(富山大学学術研究部人文科学系教授) 「杉谷4号墳の築造背景と富山平野におけるクニづくり」 まとめ 鈴木 景二(富山大学学術研究部人文科学系教授) 「地域史再興 出雲と高志」
- 2024年度 島根史学会 大会
#島根史学会( #島根県)は、島根県を拠点に全時代(古代~現代)、文化財の保全(#初代松江警察署庁舎 ・ #古文書)、歴史教育など島根県にかかわる歴史にについてトータルな活動をおこなう学術団体です。今年の2024年度大会・総会は、次のとおりひらくことになりました。今年も出雲古代史研究会の会員も講演します。ご多用の折かと存じますが、なにとぞご参加のほどよろしくお願い申し上げます。 → 島根史学会について → 会誌『島根学会会報』 2024年度 島根史学会 大会・総会 日 時:2024年9月14日(土)13:00~17:00(開場13:00) 会 場: 島根県民会館 3階303会議室 (島根県松江市殿町158) → 交通アクセスのページ 参 加:会員無料 | 非会員300円/事前申込み不要 報告①:矢野健太郎(島根県古代文化センター専門研究員) 「亀井政矩の津和野移封における武具引き渡しをめぐって」 報告②:濱松 里美(浜田市教育委員会文化振興課文化財係主事) 「史料紹介 浜田藩における和紙の生産」 講 演: 今津 勝紀 (岡山大学大学院 教授)→ 出雲古代史研究会の会員です 「吉備古代史の基本的性格」
- 古代天皇研究会8
#古代天皇研究会(#東京)は、日本古代の天皇とその周辺を検討する研究会です。天皇を中心に、①天皇と天皇を支える身位、②天皇という存在の影響力(天皇権力を背景におこなわれる統治行為なども含みます)などを研究していきます[2020年6月6日 古代天皇研究会の活動方針より]。 「古代」と「天皇」をつけていますが、古代天皇研究会は、この2つにとどまりません。古代に続く中世などほかの時代、太上天皇・女院・三后(皇后・皇太后・太皇太后)・皇太子・摂関など天皇以外の身位、日本以外の国家の君主、文化人類学などほかの分野、といった様々な縦割りをこえ、天皇をトータルにとらえることをめざしています。 このたび、次のとおり研究報告会をひらくことになりました。オンラインもありますので、地方住みの方も参加しやすくなっています。ご多用の折かと存じますが、ご関心がある方はなにとぞご参加くださいませ。 第8回 研究報告会 日 時:2024年9月7日(土)15:00~17:30予定(14:30開場) 会 場:① 早稲田大学 戸山キャンパス 36号館582教室 (東京都新宿区戸山1丁目24-1) → 交通アクセスのページ ②オンラインZoom[9/6 金にメール送信] 参 加:300円(資料代)/ 事前申込み [9/5 木まで] 支払い:①対面参加…当日の9/7(土)に会場へ持参 ②オンライン参加 a三菱UFJ銀行 柏支店 普通 0676657 b古代天皇研究会 里舘翔大( コダイテンノウケンキュウカイ サトダテショウダイ ) PayPay( 桜田真理絵宛 ) 報 告: 中野渡俊治 ( 清泉女子大学 ) 「平安時代中・後期の太上天皇と摂関・藤原氏」
- もっと知りたい島根の歴史
#島根県古代文化センター ( #島根県松江市)は、次のとおりシンポジウムをひらくことになりました。感染予防をとったうえでお運びくださいませ。 2024年度 もっと知りたい島根の歴史 会 場: 松江テルサ 1階テルサホール (島根県松江市朝日町478-18) → 交通アクセスのページ 参 加:無料/事前申込み/定員450名/申込み多数の場合は抽選 申込み:①ハガキ 〒690-8502 島根県松江市殿町1 島根県古代文化センター ②FAX 0852-22-6728 ③ネット 第1講 [08/1 木 - 09/16 月まで] 第2講 [08/1 木 - 10/14 月まで] 第3講[10/1 火 - 11/11 月まで] 第4講[10/1 火 - 11/25 月まで] 第○講の受講希望 氏名・ふりがな 郵便番号・住所(都道府県からご記入ください) 電話番号 申込み人数 第1講 9月29日(日) 申込み:8/1 木~9/16 月 13:00〜15:30 永野 智朗 (松江市埋蔵文化財調査課) 黒田 祐介(出雲弥生の森博物館) 「東西出雲の王」 第2講 10月27日(日) 申込み:8/1 木~10/14 月 13:00〜15:00 廣江 耕史(島根県古代文化センター) 高屋 茂男 (島根県立八雲立つ風土記の丘) 「城と城下町 -出雲の戦国時代」 第3講 11月24日(日) 申込み:10/1 火~11/11 月 13:00〜15:00 武廣 亮平 (日本大学経済学部) 「古代出雲の謎に迫る」 第4講 12月8日(日) 申込み:10/1 火~11/25 月 13:00~15:00 吉永 壮志 ( 島根県古代文化センター ) 「知られざる古代出雲-「光る君へ」の時代-」
- 出雲古代史研究会の発足について 第1回
井上寛司 事務局から、出雲古代史研究会発足当時の状況について、覚えていることをまとめるようにとの指示を受けた。 しかし、後ほど述べるような事情もあって、菊地照夫氏を初めとする皆さまのように、詳細で具体的なことはほとんど記憶していない。私が、自らの学問的な興味・関心というより、むしろ島根大学歴史学教室に籍を置く者としての社会的責任という観点から本研究会と関わってきたという、私自身の立ち位置と密接に関係しているのかも知れない。 そうした不十分さを承知の上で、私がどのような心づもりで本研究会の発足に関わったのかの概要を述べることとしたい。 私が島根大学文理学部(後法文学部)歴史学教室に着任したのは1975年(昭和50)10月のことで、日本中世史の研究者が島根県内の大学等の専門研究機関に着任するのは、私が初めてのことであった。 島根大学に着任してまもなく、島根地域史研究の抱える現状の容易ならざることに大きなショックを覚えると共に、これを克服するよう努めることは私に課せられた重大な社会的責務だと考えるようになった。 問題点の1つは、戦前に刊行された『島根県史』以後、今日に至るまで1度としてまともな県史が編纂されていないことにある。「まともな県史」とは、全国的な視野に立った古文書等の悉皆調査を踏まえ、史料編と合わせて通史編を編集・刊行するという、全国的にはごく当たり前の、広く認知された編集方法に基づく県史をいう (1965~67年に『新修島根県史』が編纂され、通史編3巻の他に史料編6巻、年表編も刊行されたが、しかしそれらはいずれも旧『島根県史』の成果を前提とするもので、改めて古文書の悉皆調査が行われたわけではなく、古代・中世などの史料編はいずれも『島根県史』編纂で収録された史料の中から、その採録基準も不明確なまま一部を抜粋したものに過ぎなかった)。 そして、島根県の場合一層深刻なのは、こうした県史のあり方に規定され、各市町村史においても、同じく全国的な視野に立った古文書等の悉皆調査がまったく行われないまま、史料編を欠いた通史編のみの刊行が広く常態化してしまったことにある。 私は、島根大学着任の数年後から、ほぼ毎年のように、島根県総務課や教育委員会に対し、早急に(まともな)『新島根県史』の編纂に着手するよう、様々な手づるを通じて要求し続けたが、残念ながらいま以てなしのつぶてのままである。 いま1つの問題は、島根県在住の歴史研究者の絶対的な僅少さとも関わって、各専門分野についての、より踏み込んだ学問的な議論・検討を行える場が極めて制約されている、ないし存在しないことにある。 そして、この問題を解決するためには時代別の専門的な研究会を立ち上げる必要があると考え、まず1980年6月に私の提案で「島根県中世史研究会」が発足した。さらに他の分野の皆さまにも働きかけ、1983年に「島根近代史研究会」、1986年に「島根県近世史研究会」がそれぞれ発足した。こうした中、考古学分野でも、それまでの組織を組み替えて、1983年に新しい研究団体「島根考古学会」が発足した。 →2024年9月1日(日)につづきます
- 募集)島根県江津市職員-2024年度
島根県江津市 が、令和6年度(2024年度)の職員(文化財専門員)の募集を 次のとおり行います 。皆さまからのふるってのご応募をお待ち申し上げます。 島根県江津市 > 分類でさがす 市政情報 職員人事・採用 採用情報 江津市職員採用資格試験 令和6年度職員採用資格試験の実施スケジュールについて 申込み期間:2024年8月1日(木)~8月19日(月) 昭和59(1984)年4月2日以降に生まれ 大学または大学院において考古学または歴史学を専攻して卒業(修了) 埋蔵文化財発掘調査の実務経験を有する
- 古代出雲の氏族と社会
委員 武廣亮平 本書は古代の出雲国地域における5世紀頃から9世紀前半までの歴史のうち、出雲国造の性格や国内氏族の動向、『出雲国風土記』やその関連史料から復元される古代出雲の在地社会の様相、神社の異動などを論じたものです。 一つのテーマで括られる内容ではないので、個人的には『古代出雲国の諸問題』といったタイトルの方が良かったのですが、出版社サイドからすると「諸問題」という曖昧な表題はNGなんだそうです(確かに「諸問題」と銘打った古代史の研究書は、井上光貞『日本古代史の諸問題』くらいしかありませんね)。 掲載論文はほぼすべて『出雲古代史研究』を中心とした既発表のものですが、その後発表された出雲古代史研究の成果も踏まえて、議論の内容を「アップデート」することに非常に苦労しました。特に第2章の神賀詞については多くの研究者がさまざまな観点から論じているところであり、自説を展開するところまでには至りませんでした。今後の宿題です。 また第8章や第9章も大幅に加筆しました。第9章では大原郡の郡家についても言及したのですが、旧稿発表後に発掘調査が行われた郡垣遺跡(いわゆる大原郡の「旧郡家」)の成果もうけて、内容を充実させました。どの論考も私の意見の当否はともかく、現在古代の出雲国または『出雲国風土記』を題材とした研究で何が議論されているのかという議論の到達点はまとめられたのではないかと思います。 最後に本書の構成を紹介します。 序 章 出雲古代史研究と本書の概要 第Ⅰ部 出雲国造をめぐる諸問題 第1章 東西出雲論と出雲国造の成立―論点の整理と展望― 第2章 出雲国造神賀詞と出雲国造 第Ⅱ部 古代出雲の部民制・氏族と交流 第3章 額田部臣と出雲の部民制 第4章 日置氏と六世紀の出雲 第5章 勝部氏の性格と出雲の勝部氏 第6章 畿内における出雲氏とその性格 第7章 出雲国の移配エミシとその反乱 第Ⅲ部 『出雲国風土記』と古代出雲の実態 第8章 出雲国における官社の成立とその変遷 第9章 『出雲国風土記』の在地史料 武廣亮平 『 古代出雲の氏族と社会 』 同成社 、2024年3月11日、本体7500円
- 古代出雲を学ぶ~おススメ書籍紹介(11・終)~
委員 吉松大志 みなさんこんにちは。出雲古代史研究会委員の吉松です。 出雲の古代史をさまざまな角度から学べる本をおススメするブログ 最終回となる今回は、出雲大社のバイブルとも言うべき一冊です。 千家尊統 『出雲大社』 (学生社、初版1968年、四六判、261頁) 「学生社日本の神社シリーズ」のうちの1冊で、著者は第八十二代出雲国造の千家尊統(たかむね)氏。民俗学の造詣が深い国造自らが、境内社殿や摂社末社の姿、古式ゆかしい祭りの数々を紹介しています。さらに、出雲神話の世界や出雲国造の成り立ち、神賀詞の意味など、出雲大社を考える上で欠かせない歴史学的なトピックも解説しています。 出雲大社で行われる数々の祭祀は、詳細について記した史料が少なく、実際にそれらの祭祀を毎年続けてこられた国造自らによる説明や歴史的な解釈には重みがあります。刊行から50年以上を経た現在においても、その価値は色褪せることはありません。出雲大社を参拝する前に本書熟読すれば、現地に立った時の社殿や祭りの様子がまるで違って見えることでしょう。いにしえの出雲の雰囲気にどっぷりと浸かりたい方、ぜひご一読を。 「古代出雲を学ぶ〜オススメ書籍紹介〜」は今回をもって終了となります。1年間の長きにわたりお読みいただきありがとうございました。ご紹介した11冊➕αの中で、1冊でも皆さんの琴線に触れるものがあれば、これに勝る喜びはありません。現在、委員が自著を紹介するブログが連載中ですので、今後はぜひそちらをお楽しみに。