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出雲国風土記百景(第31景)

更新日:2023年4月13日

【塔の石】

【2022年1月27日撮影】


皆様 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


一昨年の12月に開始したこの連載も約1年でようやく30景。先は長い。


今回は雲南市木次町の木次駅構内廃寺の礎石を取り上げる。『風土記』では大原郡の909にみえる斐伊郷南新造院に当たるとされる。塔の石はこの寺院の塔心礎と考えられており、長径2mを超える大規模なもので、第18景でも紹介したように、緩やかふくらんだ柱座がある(直径60㎝)。


この斐伊郷南新造院は厳堂と住僧5人の記載があり、これは新造院中最多である。また、現在は斐伊川堤防との間にあまり平坦地がないが、斐伊川の河道はかつては西側にあったと想定されており(木次、三刀屋町堺は近年に至るまで変動しているが現斐伊川流路の西にある)、それなりの規模があったとみることもできる。


この礎石は源一を保っておらず、遺跡名のように現在の木次駅のプラットホームにある屋根(トレインシェイドというらしい)の北側端のあたりにあったとされ、明治6年に現在の場所に移動された。このあたりの経緯は新修木次町誌編集委員会2004『新修木次町誌』に詳しい。


大原郡の仏教文化を伝える文化財である。

【平石 充】


(次回は1月21日掲載予定です)




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