【弁慶の立石】
写真1(2022年3月20日撮影)
写真2
前回紹介した、長海川の水源、杉井霊泉とは別に、現在の華蔵寺庫裏の下あたりにある水源地である(前回地図参照)。
華蔵寺の奥の院とされ、かつて「滝の観音堂」「弥勒の窟」があり、現在は「弁慶の立石」として知られている。近年看板が設置され、歩道も整備されているている。
※庫裏のあたりから直接降りる道もあるが、第一展望台からは誘導看板がついている。
見ての通り、巨岩の脇(写真1左)から水がわき出でている(写真2)。この流れは、枕木山に至る道路の途中にあるホテルの廃墟の脇あたりに流下しており、このあたりで道路をぬらしているのを見たことのある人も多いだろう。
訪れた前日は大雨であったが、この大岩の南側には石の露出した渓谷があり、そこを一気に水が流れ落ちていた。
全く同じ光景が、楯縫郡の神名樋(カンナビ)山(楯縫473)とされる大船山の長ナメラと呼ばれる場所にも見られる(写真3)。
写真3 出雲市大船山の長ナメラ(2016年2月16日撮影)
繰り返しになるが、出雲における霊山のあり方を考えさせる事例である。
さて、弁慶の立石はこの大岩ではなく、その脇にある高さ1.5mくらいの立柱状の石であるが、これについては来週他の立石と併せて紹介したい。 (平石 充)
参考文献
服部旦1990「『出雲国風土記』長見川と大鳥川」『大妻女子大学文学部紀要』22
※毎週土曜日に更新中。
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・本文中のアラビア数字は沖森卓也・佐藤信・矢嶋泉編『風土記』山川出版の行数です。 ・解説は撮影者によるもので、出雲古代史研究会の公式見解ではありません。
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