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出雲国風土記百景(第30景)

更新日:2022年12月22日

【観生院跡】


(2010年3月28日撮影)

前回紹介した安田関関山の北側、粕原にある寺院跡とされている場所である。伝承では、隠岐に配流される途中で後醍醐天皇がこの観生院の僧を賞したとされる。いわゆる後醍醐天皇伝承地である。残念ながら、現在は後ろにある木が枯死してしまって、もうこの景色は見られない(替わりに植えられた桜は成長している)。石宮の後ろには築山状の高まりがあり、寺院の痕跡かと思っていたら、地元の方によると、埋もれた旧河道の崖面らしい。


 先日、長台寺と併せて改めて訪問した時、前述の地元の人に話を伺ったが、ここから門生のほうに抜ける道もあったらしい。2005年ごろ、いわゆる出雲街道を自動車で踏査したが、確かにこの街道沿いには後醍醐天皇伝承がしばしばみられる。伝承が事実かどうかは別として、街道の存在を示す可能性がある。

 なお、近世山陰道は現在の9号線に近いルートで、中海沿いを通過する。吉佐には国境を示した石というのもあるらしく、いずれまたレポートしたい。


 今年の連載はここまでで、ようやく30景。お付き合いいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

                                   (平石 充)



(次回掲載は1月7日土曜日です。)

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