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拙著『近世写本文化論-出雲国風土記を書写した人々-』(八木書店刊)の紹介

  • 2月1日
  • 読了時間: 2分

会員 高橋  周



本書は博士学位請求論文「写本『出雲国風土記』の研究」(学習院大学提出) をもとに改稿・再構成したもので、本会で大会報告し『出雲古代史研究』第34号に掲載させて頂いた「細川家本『出雲国風土記』の検討」の内容も含まれています。今回、ブログにて本書を紹介頂けるとのことで、筆を執らせて頂きました。





筆者は10年以上かけて『出雲国風土記』の写本約200冊を悉皆調査し、全写本の系譜関係を明らかにしてきました。その関係の根拠となる校異表や系統図については、#八木書店 の特設サイト(https://company.books-yagi.co.jp/archives/11711)で公開しておりますので、ご覧ください。





本書の構成は、「第一部 近世に伝写された『出雲国風土記』」と「第二部 近世出雲と『出雲国風土記』」からなります。



「第一部 近世に伝写された『出雲国風土記』」では出雲国外で書写された写本に注目し、はじめ将軍・徳川家康に由来する細川家本の系統の写本に言及しています。その後、尾張藩主・徳川義直に関わる蓬左文庫本と日御碕神社本の関係について考察し、この系統の写本が江戸・伊勢・京都・九州と広範囲に展開していく様相を捉えました。



それらの写本の各論として、書物が必要とされていた理由や地域を越えて人と人とが文化的につながった背景にも触れています。堂上公家・将軍家から神官・国学者に至るまでの多様な人々と出雲国風土記との関係を論じました。



「第二部 近世出雲と『出雲国風土記』」では出雲国内で書写された写本と、補訂本と称される『出雲風土記鈔』あるいは万葉緯本について言及しました。出雲国内の写本は松江藩士・岸崎時照に由来する郷原家本と、出雲大社上官・佐草自清の「自清本」から展開し、いずれも伊勢と関わることを指摘しています。また、万葉緯本には稿本系の写本や、補訂本ではない脱落本系の写本が多く残ることを示しました。



各写本には書写の背景があり、出雲国風土記を書写した近世の人々が古代出雲に何を求めていたのか考究したのが本書です。ご一読頂ければ幸いです。



八木書店、2025年11月刊、本体10000円+税



仁藤敦史『古代王権の成立と展開』
髙橋周『近世写本文化論』



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