委員 吉松大志
みなさんこんにちは。出雲古代史研究会委員の吉松です。
出雲の古代史をさまざまな角度から学べる本をおススメするブログ
今回は出雲の成り立ちに考古学から迫る最新研究をご紹介します。
池淵俊一著
(松江市ふるさと文庫18、2017年、松江市まちづくり部史料編纂課、A5判、112頁、800円(税別))
松江市ふるさと文庫は、島根県松江市域の歴史や文化、自然環境などをわかりやすく紹介する市民向けブックレットのシリーズで、令和5年9月時点で33冊が刊行されています。
今回ご紹介するのは、島根県職員として長く県内遺跡の発掘調査に携わってきた池淵俊一氏による古代出雲成立を解き明かす一冊です。
前方後方墳や方墳といった全国的に見ればマイナーな墳形を採用した古墳時代の出雲。ともすればマイナスな評価がされがちだった出雲の古墳を、最新の研究を踏まえながら積極的に地域形成史として位置づけ直しています。
また古墳だけでなく、水利整備による平野開発や、手工業生産の動向など、多面的に出雲古墳時代史を描いているのが特徴です。この一冊を読めば、古墳時代の出雲の歴史を理解できると言っても過言でないでしょう。
松江市ふるさと文庫は、そのほかにも、三重の環濠で有名な弥生時代の田和山遺跡を取り上げたもの、古代・中世の松江の水上交通から西日本水運の実態を解説したもの、古代山陰と日本海域の対外交流を描いたものなど、多種多様なラインナップを取り揃えています。これらは松江市内の主要書店、松江歴史館ミュージアムショップで販売しています。また郵送での購入も受け付けているようですので、詳しくは松江市ふるさと文庫HPをご覧ください。
→次回は10月末更新予定。