委員 吉松大志
みなさんこんにちは。出雲古代史研究会委員の吉松です。
出雲の古代史をさまざまな角度から学べる本をおススメするブログを担当します。
第1回目はいま旬の一冊をご紹介します。
(八木書店、2023年3月、740ページ、税込5500円)
(画像はともに八木書店HPより)
『出雲国風土記』は奈良時代に出雲で作られた地誌で、現存する唯一の完本(欠落や省略がほとんどなく全体が現在まで伝わる)の風土記です。約17,000字の漢文からなり、地名の由来を語る神話や399もの神社といった出雲らしい記述だけでなく、自然景観や生息する動植物など古代出雲に関するあらゆる情報が細かく記されており、1300年前の出雲の姿が手に取るように分かる貴重な史料です。
この本はその『出雲国風土記』の内容について、主に歴史学的な視点から解説を加えています。さらに考古学・地質学・地理学・文学などさまざまな分野の研究成果も盛り込んでおり、まさに風土記研究の集大成となる一書です。
島根県の歴史研究をリードしてきた古代文化センターの長年の研究成果に基づき、この3月に完成しました。昨年刊行された地図・写本編と合わせて眺めることで、古代出雲のすべてが分かると言っても過言ではないでしょう。700ページを超えるボリュームで税込5,500円は破格です。ぜひお手に取ってみてください。