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出雲国風土記百景(第4景)

更新日:2022年1月7日

第4景 独居鵠


第4景 独居鵠 (2021年9月19日 安来市 赤江町にて撮影)


 山陰の冬の風物詩、ハクチョウ。島根県の鳥でもある(余談だが、かつてはオオハクチョウで2000年からハクチョウに変更されている)。


 写真は9月19日撮影で、まだハクチョウの飛来前である。???だが、写っているのはいわゆる渡りをしなくなった怠けたハクチョウで、今は実は結構いる。…大きいので近寄ると結構怖い。


 さて、古代出雲のハクチョウ(古語は鵠(くぐい))というと、ホムチワケ伝承で言葉の話せない皇子ホムチワケが発語するきっかけとなった鵠が有名である。

 この鵠は『新撰姓氏録』右京神別鳥取造では、鳥取連の祖天湯河桁(あめのゆかわたな)が出雲国宇夜江(現在の出雲市斐川町宇屋谷)で捕獲したと伝承されている。


 では、『風土記』にこの伝承が見えるかというと、宇夜の地名はあるが説話は記されていない。また、中世以降、求院(ぐい)の地名が確認できる。


 ただし、『風土記』の鵠の記載箇所を見ると、出雲郡では山野に記されている(山川592)。『風土記』で山野に記載されている鳥は原則渡りをしない留鳥であり、鴨や鴛鴦のような移動する鳥は池や入海に記される。島根郡には白鵠がみえるが、入海に「秋になるといる」とされる(山川419)。


 出雲郡の鵠はこれらの『風土記』記載の原則から外れており、年中いることになっているのである。

 出雲郡に居住した鳥取部による飼育を想定すべきであろう。(平石 充)


 

鳥小屋を想起させる 鳥屋社(風土記社)の社叢(2019年7月20日 出雲市斐川町にて撮影) 



 

・写真は加工されており、資料的価値ありません。写真としてお楽しみください。

・解説は撮影者によるもので、出雲古代史研究会の公式見解ではありません。

・解説中の(山川○○)は、『出雲国風土記』(沖森卓也・佐藤信・矢嶋泉編 山川出版2005)の登場行数です。

・写真の無断転用はお断りします。

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