top of page

出雲国風土記百景(第29景)

更新日:2023年4月14日

【長台寺付近寺跡】


【2022年11月27日撮影】


今回は安来市伯太町安田関の長台寺付近寺跡を紹介する。今は比較的はっきりしている古代寺院にかかわる遺跡という認識だが、最初に知ったのは関和彦さんの『出雲国風土記註論』で、驚いたのを覚えている。

写真はわかりづらい、円形の柱座と舎利孔がみえ、古代の塔心礎とみてよい。なお、『註論』にも写真が載っているが、そちらには全く苔が生えていない。月日の流れは速い。





【2022年11月27日撮影】 


現在の長台寺もなかなか雰囲気のあるお寺である。鳥取島根県堺、すなわち伯耆出雲国境にある要害山の西斜面に平坦地を作り出し、本堂と護摩堂・薬師堂、鐘楼などがある。

問題の塔心礎は、この平坦面の下の庫裏の庭にある。いわゆる庭石なので、原位置にあるとは考えられない。瓦の出土地はさらに西側に下った場所にあるとされるが、出土瓦については実見できていない。

 さて、寺伝によると、当初この寺院はさらに山奥の坊床にあったものが移転したとされる。似たような伝承は、松江の澄水寺にもあり、検討が必要だろう。

 また所在地安田関は手間剗の推定地、下の地図の黄色の道がおおむね古代山陰道と考えられている(中村太一説)。すでに指摘のあるいわゆる関寺にあたる可能性もあるといえるだろう。





※次回の更新は12月20日


                                   (平石 充)


bottom of page